この記事の要約
- にせの情報(おとり)は、作る前に「何を・どこに」を決める。材料は、自分のサイトに来ている探りの記録
- 当社の約 7日(2026年10月5日〜12日)の記録では、行き先が分かる 3,717回のうち 1,923回(51.7%)が、設定や鍵のファイルを探す通信だった
- にせの情報 6つを手元で作り、取られた・使われたに気づけるかを試した。外には 1つも置いていない
- 気づく仕掛けで、止める仕掛けではない。置かない方がよい所と、外から「漏れ」に見える恐れも在る
目次
この記事は、セキュリティの専任が居ない小さい会社で、Web サイトやサーバーを見ている方に向けて書いています。
設定や鍵のファイルを探す通信が記録に並んでいて、「もし取られたら、気づけるのか」が気になった時のための記事です。
この記事では、相手につかませるために置く、にせのファイルや ID を、「にせの情報」と書きます。一般には、ハニートークンとも呼ばれます。
おとりのサーバー(ハニーポット)を立てる方法は、別の型で、次の記事にまとめています。
ダミーの情報とハニーポット:盗まれてもよい「おとり」で攻撃に気づく 2つの方法と限界
分かることは 3つです。何のにせの情報を作るかの決め方。どこに置くか、置かないかの考え方。取られた・使われたに気づく記録の取り方です。
当社がしたのは、自社の記録を数える事と、手元での試しまでです。外には 1つも置いておらず、効き目は確かめていません(2026年10月12日 時点)。
先に答え:決める順番は 5つ
にせの情報は、作る所から始めると、置いた物が相手に届かない事が在ります。当社は、次の順で進めました。
当社が手を動かしたのは、手順 1 から 4 までです。手順 5 は、考え方の整理までで、置いていません。
手順 1:探されている物を、自分の記録で数える
数え方
当社は、2026年10月5日から 10月12日 9時29分までの、約 7日と 9時間半の記録を数えました。
使った記録は 2つです。サーバーに届いて「無い」と答えた通信の記録と、入口の守り(WAF など)が止めた通信の記録です。
サーバーの記録からは、当社のサーバー自身、当社の端末、検索や AI の巡回を名乗る通信を外しました。行き先は、名前の形で 5つの種類に分けました。
探りが、どのように来るかは、2026年10月8日の記録を数えた、次の記事に書いています。この記事の数は、次の記事に書いた「14日で 23回」とは、期間と、行き先の分け方が違います。
自社で起こったセキュリティ攻撃:約 50秒に 816回の探りを、記録から数えた(2026年10月8日)
出た数
行き先が分かる通信は 3,717回 でした。そのうち 1,923回(51.7%) が、設定や鍵のファイルを探す通信です。
- 設定や鍵のファイル:1,923回(届いて「無い」が 608回、入口で止めた分が 1,315回)
- 管理やログインの入口:287回
- 知られた製品の入口や弱い所:252回
- バックアップや書き出し:10回
- そのほか:1,245回(害の無い確かめも混ざっている)
名前で多かったのは、「.env」という名前の設定のファイルと、その変わり形でした。「.git」の設定のファイルを探す通信も在りました。
回数に比べて、送り元の数は少なめでした。少ない数の道具が、たくさんの名前を順に試している形です。
行き先が分かる分での、当社の記録からの答えは、いちばん探されているのは「設定のファイル」と「鍵のファイル」の形だ、という事です。
入口の守りが止めている名前には、置いても届かない
入口の守りが先に止めている名前では、にせのファイルを置いても、止められた通信には届きません。当社の記録でも、そういう名前が在りました。
入口の守りを緩めれば届きますが、守りを下げる事になります。当社は、にせの情報のために守りを緩める事はしない、と決めました。
この数の限り
- 入口で止めた通信の多くは、行き先が記録に残っていない。その分は、3,717回に入っていない
- 字を変えて送られた探りは、当社の数える道具が見分けられず、「そのほか」に入った。設定や鍵を探す通信は、1,923回より多い
- 巡回は、名乗りの字で外しただけ。入口で止めた側の記録は、巡回を分けていない
- 当社の約 7日の数で、ほかのサイトにも当てはまるとは言えない
手順 2:探されている形に合わせて、にせの情報を作る
当社は、手順 1 で上位だった形に合わせて、にせの情報の見本を 6つ 作りました。作っただけで、外には置いていません。
- にせの設定のファイル:3つ
- にせの鍵のファイル:1つ
- にせの ID とパスワードの一覧:1つ
- にせのデータベースの書き出し:1つ
値は、プログラムが作る、でたらめの字だけです。本物の設定、鍵、データベースは、1つも開いていません。
守った線
- 本物の情報を、1字も混ぜない
- 広く知られたサービスの鍵の形を使わない。当社が挙げた形が混ざったら止まる検査を入れた(混ざりは 0)
- 実在の人や会社の名前を使わない
- 宛先は、関係の無い第三者に届かない物だけにする
- 実在の会社のログイン画面に似せた形は、作らない
実在の形の鍵を作ると、拾った相手が、そのサービスで試す恐れが在ります。関係の無い第三者に通信が飛び、他人の本物と重なる恐れも在ります。
決められなかった事
一方で、実在しない形の鍵は、相手に、にせだと気づかれやすくなります。本物らしさと、第三者を巻き込まない事は、引き合います。
どこで折り合うかを、当社は、まだ決めていません。手元の試しは、実在の形を使わない側で行いました。
手順 3:印を付けて、台帳に残す
にせの情報の値は、置き場所ごとに違う字にしました。値そのものが「印」になり、どこから取られた物かが分かります。
印は 32個 で、重なりは 0 でした。印と置き場所の対応を書いた一覧を、この記事では「台帳」と書きます。
台帳には、印、置き場所、種類、欄(ファイルの中の、どの項目に入れたか)、作った時刻を残しました。台帳が無いと、後で、にせと本物の見分けが付かなくなります。
1回目の失敗:台帳と合わない印が 13個
1回目は、台帳に、大文字と小文字を変える前の字を入れていました。見本に書いた字と合わない印が、32個のうち 13個 在りました。
相手が見本の字のまま使うと、台帳から探しても見つかりません。当社の確かめは、台帳の字で打っていたので、「見つかった」と出ていました。
自分で作った台帳の字で確かめると、台帳の誤りには気づけない、という失敗です。
台帳に、見本に書いた字そのものを入れる形に直し、合わない印が 0 である事を確かめました。
短い印は、たまたま当たる恐れが在る
短い印は、大きい記録の中で、たまたま同じ字が現れる恐れが在ります。誤った知らせのもとになります。
当社の 10月のアクセスの記録 59,126行に、32個の印を当てた時は、誤った当たりは 0 でした。
手順 4:取られた・使われたに気づく記録を用意する
気づきたい事は 2つ在ります。にせの情報が「取られた」事と、取られた印が、後の通信で「使われた」事です。
当社は、サーバーの中からだけ届く待ち受けを作り、自分で取りに行き、自分で使って、記録から探しました。外からは届かない形です。
取りに行って、使って、探すまでを、2回 行いました。待ち受けは、起動の直後に、外へ開いていない事を見て、終わりに止めています。
手元で分かった事
- 取られた事:6つを取りに行き、6回とも記録に残った
- 使われた事:印を 5つの形で送り、5つとも記録から見つかった
- どの置き場所から取られた印かも、台帳から出た
- 印の無い通信は、当たらなかった
5つの形は、認証のヘッダーに入れる形が 2つ、URL の後ろに付ける形、フォームで送る形、JSON で送る形です。
ふつうのアクセスの記録では、5つのうち 1つしか見つからなかった
上の結果は、ヘッダーと本文まで残した記録での話です。Web サーバーのふつうのアクセスの記録と同じ形に寄せた記録でも、探しました。
見つかったのは、URL の後ろに付けた形の 1つだけ でした。ヘッダーと本文は、その形の記録に入らないためです。
「使われた」に気づきたいなら、にせの情報を置く道にだけ、ヘッダーと本文の頭を残す記録が、別に要ります。
試していない形
- 印の一部だけを使う形と、字を変えて使う形
- 当社の外のサービスで使われる形。当社の記録には何も残らず、この仕組みでは気づけない
- 外の人が、にせの情報を取って使う事。試したのは、当社が自分で送った通信だけ
手順 5:置く場所と、置かない所を決める
ここからは、置く前の整理です。当社は置いていないので、置いた後に起きた事としては、書けません。これで足りる、とも言えません。
置く候補にする所(当社の整理。置いていません)
- サーバーまで届いて「無い」と答えている行き先の形:名前は、自分の記録(手順 1)から選ぶ
- 本物の情報とは、別の場所と、別の権限で動く所:返すのは、動かない字だけにする
- ヘッダーと本文の頭を残す記録を、その道にだけ付けられる所:手順 4 の「使われた」に気づくため
置かない方がよい所
- 入口の守りが先に止めている名前:置いても届かない。届かせるために、守りを緩めない
- 本物の情報と同じ場所や、同じ権限で動く所:にせと本物が混ざり、行き来できないように分ける事(切り離し)が弱くなる
- ほかのサービスと共有している設定を触る形:直し損ねると、関係の無いサービスを巻き込む
置く前に決めておく懸念
- 外から「鍵が漏れているサイト」に見える:診断の道具や外の一覧に載る恐れが在る。載った後に消せるかは、分からない
- 善意の知らせが来る:「鍵が漏れています」という連絡の受け口と、どう答えるかを、先に決める
- 記録の扱い:記録には、相手の IP アドレスや、相手が送ってきた字が入る。残す日数と、見られる人を決める
- 他人の ID が混ざる:相手が送る字に、他人の本物の ID やパスワードが入る事が在る。人に渡さない。公開しない
- 足場にされる:返すのは動かない字だけにし、書き込む口を作らない。本物と同じ権限で動かさない
- 何も起きずに終わる:名前を順に試す道具が、取った物を使うかは分からない。閉じる日を先に決める
日本の法令で何が問題になるかは、この記事では扱っていません。置く前に、専門の人に確かめてください。
限界:にせの情報は、気づく仕掛けで、止める仕掛けではない
- 取られなければ、何も分からない。記録に何も出ない事は、無事の印ではない
- 取られても、使われるとは限らない。外で使われた時は、自分の記録に残らない
- 相手が、にせだと気づけば、避けられる
- 入口の守り、権限を絞る事、更新、記録の代わりにはならない
当社が言えるのは、「手元では動いた」までです。外に置いた時に、相手が実際に取るか、使うかは、確かめていません。
よくある質問
Q. 何から始めればよいですか?
自分のサイトに来ている、「無い行き先」への通信を、種類ごとに数える所からです。作る物と置く場所は、その数から決めます。
記録の集め方は、次の記事に書いています。
AI エージェントにセキュリティログを読ませる方法:ログを集め、API で渡し、参照させる手順と限界
Q. ハニーポットとは、違う物ですか?
違う型です。この記事のにせの情報は、ファイルや ID の形で置く物で、一般にハニートークンと呼ばれます。ハニーポットは、おとりのサーバーを立てる方法です。
2つの型の違いは、「ダミーの情報とハニーポット」の記事にまとめています。
Q. にせの情報を作る道具は、無料の物も在りますか?
在ります。にせの情報を作り、触られたら知らせる道具は、無料の物が公開されています。
2026年10月12日に、当社が公開のページを開いて確かめた範囲の事です。当社は、どの道具も使っていません。
この記事に書いたのは、道具の前の段です。何を、どこに置くかを、自分の記録から決める所です。
Q. AI がこの記事を書いているのですか?
この記事は、AI エージェントが、社内の記録から書いています。数字と記録の突き合わせも、AI エージェントが行いました。載せるかどうかは、会社が決めています。
記録の数えと、手元の試しも、当社の AI エージェントの部署が行いました。
まとめ
- にせの情報は、作る前に、自分の記録で「何が探されているか」を数える
- 当社の約 7日(2026年10月5日〜12日)の記録では、行き先が分かる 3,717回のうち 51.7% が、設定や鍵のファイルを探す通信だった
- 入口の守りが止めている名前に置いても届かない。ふつうのアクセスの記録では「使われた」の多くが見えない
- 当社は手元で試しただけで、外には置いていない。気づく仕掛けで、止める仕掛けではない
使った数字の出どころ
当社の記録:サーバーのアクセスの記録と、入口の守りが止めた通信の記録です。2026年10月5日 0時から 10月12日 9時29分までの分を、10月12日の 9時台に数えました。
入口の守りの記録は、9時21分の分までです。
手元の試し:2026年10月12日の 9時28分から 9時32分に、当社のサーバーの中だけで行いました。見本 6つ、印 32個、待ち受け 2回です。
287回、252回、10回、1,245回は、サーバーに届いた分と、入口で止めた分を、当社が足した数です。
無料の道具が公開されている事は、2026年10月12日の 9時27分から 9時32分に、当社が公開のページを開いて確かめました。製品の名前は、書いていません。
公の機関の文書は、この記事では引いていません。
マイクロファンドセキュリティサービス(準備中)
自分のサイトに何が来ているかを、どこから見ればよいか分からない方へ。
当社が自分のサービスで続けている点検と記録のやり方を、AI を通して提供する準備をしているページです。商品・料金・申し込みは、まだ在りません。
おとりの置き方を決める手伝いは、検討している案で、売っていません。送り先のページにも、おとりの話は、まだ書いていません。
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