この記事の要約
- おとりを使う守りには、2つの型が在る。盗まれてもよいダミーの情報を置く型と、攻撃されてもよいサーバーを立てる型
- ダミーの情報は、使われた時や開かれた時に、漏れた事・入られた事に気づくための仕掛け
- ハニーポットは、攻撃をわざと受けて、手口を記録して調べるためのサーバー。本物から切り離す手当てが要る
- どちらも気づく仕掛けで、止める仕掛けではない。当社は 2026年10月12日の時点で外に置いておらず、法令の扱いは書いていない
目次
この記事は、自分の Web サイトやサービスを動かしていて、入口の守りのほかに、何を足せるかを知りたい方に向けて書いています。
分かることは 3つです。おとりを使う守りの 2つの型。それぞれの仕組みと、分かる事。置く前に知っておく限界です。
2026年10月12日 時点の内容です。公開されている文書をまとめた記事で、当社は、ダミーの情報も、ハニーポットも、外に置いていません。
作り方の細かい手順、製品の選び方、日本の法令での扱いは、この記事では扱っていません。
入口で止めるだけでは、入られた事に気づきにくい
入口の守り(WAF など)は、あやしい通信を止める仕掛けです。止めた分は、記録に残ります。
止められなかった分は、止めた記録に残りません。中の人が持ち出した情報も、同じです。気づくきっかけが、入口の記録の中に在りません。
一方で、探りに来る相手は、何が在るかを順に確かめます。当社に 2026年10月8日に来た探りも、そうでした。
この時の探りは、約 50秒に 816回。入口で 402回を止め、残りの 414回が、当社のサーバーに届きました。
届いた 414回のうち 60回 は、当社に無い行き先でした。種類を数えると 56種類で、世の中の製品でよく使われる入口の名前が並んでいました。
自社で起こったセキュリティ攻撃:約 50秒に 816回の探りを、記録から数えた(2026年10月8日)
おとりは、この「探しに来る」動きを使います。ふつうの利用者が触らない物を置いておき、触られたら知らせる、という考え方です。
おとりの 2つの型:情報を置くか、サーバーを立てるか
米国の NIST(国立標準技術研究所)の文書 SP 800-53 には、「Decoys(おとり)」という項目が在ります。
攻撃の的になるように作った部品を、システムの中に置く。目的は、攻撃を見つける事、そらす事、分析する事だ、という説明です。
NIST の用語集は、ハニーポットを、侵入しようとする相手を引き付けるように作った、システムや資源だと説明しています。例は、Web サーバーと、サーバーの中のファイルです。
この記事では、おとりを 2つの型に分けます。分け方は、当社が説明のために置いた物です。
- ダミーの情報:情報そのものが、おとり。にせの ID、にせのファイル、にせのメールアドレス など
- ハニーポット:サーバーそのものが、おとり。本物の仕事をさせないサーバーを、わざと置く
方法 1:盗まれてもよいダミーの情報を、あらかじめ置いておく
仕組み:使われたら、持ち出されたと分かる
本物の情報の中に、にせの情報を混ぜておきます。にせの情報は、ふつうの仕事では、だれも使いません。使われた時は、だれかが持ち出した手がかりになります。
この記事では、おとりが触られて知らせが出る事を、「鳴る」と書きます。
NIST の同じ文書には、「Tainting(印を付ける)」という項目が在ります。挙げている例は、社内のデータベースに、にせの名前とメールアドレスを足しておく形です。
そのにせのアドレスにメールが届いたら、データベースが侵されたと分かる、という説明です。送った相手は権限の無い者で、写しを取られたかもしれない、とも書いています。
ダミーにできる物
MITRE が公開している D3FEND は、守りの手法をまとめた一覧です。おとりの種類として、次のような物を挙げています。
- おとりのファイル:設定や書類に見えるファイルを置き、開かれたかを見張る
- おとりの ID とパスワード:使われた時に気づけるように、見張りを作っておく
- そのほか:認証の印(セッショントークン)、ネット上のにせの人物、ネットワークの資源のおとりも、挙げている
D3FEND の例には、にせの ID とパスワードを並べた CSV ファイルをシステムに置き、開かれたかを見張る、という形が在ります。
置いただけでは、何も知らせてくれません。開かれた事・使われた事を記録して、知らせる仕組みを合わせて作ります。
こうしたダミーの情報は、一般に「ハニートークン」とも呼ばれます。NIST と D3FEND の、当社が読んだ項目には、出てこない呼び名です。
「盗まれてもよい」とは、どういう事か
盗まれても、相手の役に立たず、だれも困らない、という意味です。この記事では、次の 3つを満たす物を指します。
- 本物の情報を 1つも含まない。実在の人や会社の名前、連絡先を、ダミーに使わない
- それを使っても、本物の仕組みには入れない。にせの ID に、本物の権限を付けない
- 使われた時や届いた時に、自分が気づける。にせのアドレスは、自分が受け取れる物にする
気を付ける事
- 誤って鳴る:社内の人、検索の仕組み、バックアップの道具が触っても、知らせが出る
- 置いた場所を忘れる:どこに何を置いたかの一覧が無いと、本物と見分けられなくなる
- 手間が続く:D3FEND は、おとりの ID について、まわりのおとりの環境を本物らしく保つ手入れが続く、としている
- 相手に気づかれる:おとりだと分かれば、触られない
方法 2:攻撃されてもよいサーバー(ハニーポット)を立てておく
仕組み:本物の仕事が無いので、来る通信はどれも調べる対象になる
ハニーポットは、本物の利用者に使わせないサーバーです。ふつうの用事で来る人は、居ません。
D3FEND は、おとりとして置く物について、正当な仕事の用途を持たない、と説明しています。そこへの通信は、全部 記録して分析するべきだ、という説明です。
過去の攻撃や、これから来るかもしれない攻撃の手がかりを、その記録から探します。
近い考え方の、公の例(NICT)
用の無い所に来る通信を見る、という考え方は、公の観測でも使われています。当社の読みでは、ハニーポットとは別の仕組みで、考え方が近い物です。
日本では、NICT(情報通信研究機構)が、NICTER という仕組みで、使われていない IP アドレスに届く通信を観測し、結果の一部を公開しています。
本来、使われていない IP アドレスに、通信は届かないはずです。実際には、攻撃に関わる通信が大量に届く、と NICT は説明しています。
分かる事
次の 3つは、一般の説明です(当社は、外に置いて試していません)。
- どの入口が、どの順で試されるか
- どのような命令や文字が、送られてくるか
- 本物のサーバーの記録と照らして、同じ相手が来ていないか
気を付ける事
NIST の文書は、おとりを使う時には、切り離しの手当てが要る、としています。おとりに来た悪いプログラムが、本物のシステムにうつらないようにするためです。
この記事では、おとりと本物のシステムを、行き来できないように分ける事を、「切り離し」と書きます。
同じ文書は、使い方によっては、置く前に法務の担当への相談が要る場合が在る、とも書いています。米国の機関の文書で、日本の法令についての字ではありません。
日本の法令で何が問題になるかは、この記事では扱っていません。置く前に、専門の人に確かめてください。
- 切り離しが足りない:おとりから本物や、ほかの人のサーバーへ、害が及ぶ恐れが在る
- 見張る人と時間が要る:攻撃をわざと受けるので、置いたまま放っておく物ではない
- 記録の扱いの決まりが要る:集まる記録には、相手の IP アドレスなどが入る
2つの方法の違い
- おとりにする物:方法 1 は、情報。方法 2 は、サーバー
- 分かる事:方法 1 は、持ち出された・入られたという事実。方法 2 は、攻撃の手口
- 手間:方法 1 は、置いた場所の管理と見張り。方法 2 は、切り離しと、記録の分析
- 主な危うさ:方法 1 は、誤って鳴る事。方法 2 は、本物へ害が及ぶ事
2つは、どちらかを選ぶ物ではありません。目的が違います。
置く前に決める 5つの事
一般の手順を、5つに分けました(当社が通した手順では、ありません)。法令の面の確かめと、方法 2 の切り離しは、この 5つに入れていません。
- 本物の守りと記録が先:おとりは、足す物。入口の守りと、ログを集める事の代わりにはならない
- 何に気づきたいかを決める:持ち出しに気づきたいなら方法 1。手口を知りたいなら方法 2
- 置く場所と一覧を決める:だれが、どこに、何を置いたかを、限られた人だけが見られる形で残す
- 鳴った時の動きを決める:知らせをだれが見て、何を確かめるかを、先に書いておく
- 鳴るかを試す:置いた後に、自分で触って、知らせが届くかを確かめる
何のダミーの情報を作るかを、当社の記録から決めて、手元で作って試した結果は、次の記事に書きました。外には置いていません。
にせの情報(ハニートークン)を先に作っておく:おとりの置き方を、自社の記録から決める手順と限界
限界:おとりは、気づく仕掛けで、止める仕掛けではない
- 触られなければ、鳴らない。鳴らない事は、無事の印ではない
- ダミーの情報が鳴った時には、誤って鳴ったのでなければ、もう入られているか、持ち出されている恐れが在る。起きた事を、無かった事にはできない
- 相手がおとりを避ければ、何も分からない
- 本物の守り(入口の守り、権限を絞る事、更新、記録)の代わりにはならない
おとりを置けば足りる、という事ではありません。気づくきっかけが、1つ 増える、という話です。
当社がしている事と、していない事
2026年10月12日の時点の事です。当社の記録で、読者への勧めではありません。
- している事:自社のサービスの入口で止めた通信の記録を集め、数えている
- 開けている事:その記録を JSON で返す API。登録と呼び出しを開けている。販売は、まだ受け付けていない
- 試していない事:ダミーの情報を置く事。ハニーポットを立てる事
この API が返す記録は、ハニーポットで集めた物ではありません。当社の本物のサービスの入口で、止めた通信です。
よくある質問
Q. 小さい会社や個人のサイトでも、おとりは要りますか?
先に要るのは、入口の守りと記録です。おとりは、その上に足す物です。
要るかどうかを数字で言える材料を、当社は持っていません。まず、自分のサイトに何が来ているかを、記録で見ます。
AI エージェントにセキュリティログを読ませる方法:ログを集め、API で渡し、参照させる手順と限界
Q. おとりが 1回も鳴らなければ、入られていないと言えますか?
言えません。相手が、おとりに触らなかっただけ、という事が在ります。ほかの記録と合わせて見ます。
Q. 問い合わせフォームの「ハニーポット」とは、同じ物ですか?
別の物です。フォームでは、人には見えない入力の欄を置き、そこを埋めてきた送信を機械と見なす仕掛けを、ハニーポットと呼ぶ事が在ります。
「本物の利用者が触らない物を置く」という点は同じです。この記事の 2つの方法とは、目的と作りが違います。
Q. AI がこの記事を書いているのですか?
この記事は、AI エージェントが、公開の文書と社内の記録から書いています。突き合わせも、AI エージェントが行いました。載せるかどうかは、会社が決めています。
まとめ
- おとりには 2つの型が在る。ダミーの情報を置く型と、ハニーポット(おとりのサーバー)を立てる型
- ダミーの情報は、使われた時に、持ち出された・入られたと気づくための物。本物の情報を混ぜない
- ハニーポットは、攻撃を受けて手口を記録する物。本物から切り離し、見張り続ける
- どちらも、気づく仕掛けで、止める仕掛けではない。本物の守りと記録が先
出どころ(公開の文書は、2026年10月12日の 9時7分ごろに取って読みました。リンクは張っていません)
当社の記録:2026年10月8日に数えた、入口の守りの記録と、サーバーのアクセスの記録です。
NIST SP 800-53 Rev. 5(5.2.0 の版)の「SC-26 Decoys」「SI-20 Tainting」と、NIST の用語集の「honeypot」(定義のもとは CNSSI 4009-2022)
MITRE D3FEND の「Decoy Object」「Decoy File」「Decoy User Credential」
NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)「NICTERWEB」のトップのページの説明
上の資料の中身は、当社が言い換えて整理した物です。訳は当社の物で、原文のままでは、ありません。
各機関が、この記事を書いたり、確かめたり、頼んだりした物ではありません。
MITRE D3FEND は、The MITRE Corporation の商標です。
D3FEND のサイトの著作権の表示は「© 2025 The MITRE Corporation」です(2026年10月12日に見た字)。利用の条件は、同じサイトの Terms of Use に在ります。
止めた通信の記録を返す API
止めた通信の記録が、どのような形の物かを見たい方へ。
当社のサービスの入口で止めた通信の記録を、JSON で返す API です。登録と呼び出しを開けています。販売は、まだ受け付けていません。
返すのは、当社に来た分だけです。お使いのサイトのログを集める道具では、ありません。サイトを守る事を約束する物でも、ありません。ハニーポットで集めた記録でも、ありません。
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