清算価格は、取引所が建玉を強制的に閉じる価格です。先に決めたロスカットラインから逆算すると、清算価格もロット(数量)も一緒に決まります。
対象は、証拠金を入れて暗号資産の無期限先物を取引している方です。Hyperliquid の公開ドキュメントにある清算の式にもとづく、2026 年 9 月 25 日時点の内容です。
清算価格を気にせずにロットを決めると、思ったより早く清算されることがあります。反対に清算価格から考えると、1 回の損失の上限が先に見えます。
この記事で分かるのは、次の 4 つです。
- 清算価格を先に決める理由
- 清算価格とロスカットラインの違い
- 清算価格が何で決まるか
- 清算価格からロットを出す計算
なぜ清算価格を先に決めるのか
清算価格は、決めなくても決まります。証拠金に対してどれだけのロットを建てたかで、位置が自動的に決まるからです。
計算例です。証拠金 500 USDC・建値 100・維持証拠金率 5% のロングで、ロット 20.8 なら清算価格は約 80 です。ロットを 50 にすると約 94.7 になり、建値から約 5% 下がるだけで届きます。
「決めない」は、見ないまま決めているのと同じです。
清算では、自分で選んだ価格ではなく取引所の式で建玉が閉じられます。ロット 20.8 で 80 まで下がると、損失は約 416 USDC で、証拠金 500 USDC の 8 割を超えます。
クロスマージンでは、ほかのポジションの証拠金まで巻き込むことがあります。
先に決めておくと、次の 3 つができます。
- 清算価格をロスカットラインの外側に置き、自分の損切りを先に効かせる
- 建てる前に、失いうる額の上限が分かる
- レバレッジの数字ではなく、清算価格からロットを決める
その銘柄の1 日の値幅くらいのふつうの動きでも、近すぎる清算価格には届きます。読みが当たっていても、途中で清算されればそこで終わりです。
考えるのは「思った方向に動くか」だけでなく、「そこまでの値動きに耐えられるか」です。
清算価格とロスカットラインは別のもの
ロスカットラインは、自分で決める「ここまで動いたら閉じる」価格です。1 回で失う額を、自分で選ぶための線です。
清算価格は、取引所の決まりで決まる価格です。証拠金が維持証拠金まで減ると、建玉は取引所によって閉じられます。
順番は、ロスカットラインが先で、清算価格はその外側です。自分の損切りが先に動き、清算は最後の安全網として遠くに置きます。
図のように、建値からロスカットラインまでが自分で選ぶ損失で、ロスカットラインから清算価格までが余白です。
清算価格は、証拠金・建値・ロット・維持証拠金率で決まる
清算が起きるのは、証拠金に含み損益を足した額が、維持証拠金を下回ったときです。
維持証拠金率は銘柄ごとに決まっています。Hyperliquid では、その銘柄の最大レバレッジで必要な証拠金の半分で、最大 10 倍の銘柄なら 5% です。
この条件を逆にたどると、ロットは次の式で出せます。
ロット = 証拠金 ÷(建値と清算価格の差 + 清算価格 × 維持証拠金率)
ショートは価格の上下が逆になるだけで、考え方は同じです。
証拠金が多いほど、ロットが小さいほど、清算価格は建値から遠くなります。証拠金が同じままロットを増やすと、清算価格は建値に近づきます。
コツ1:ロスカットラインを先に決める
最初に決めるのは、清算価格ではなくロスカットラインです。値動きの節目や、1 回で失ってよい額から決めます。
例として、建値 100 のロングで、88 まで下がったら閉じると決めたとします。
清算価格は、その 88 より下に置きます。ロスカットで閉じられなかったときに、はじめて効く線だからです。
コツ2:ロスカットラインと清算価格の間に余白をとる
値動きが速いと、ロスカットの注文は決めた価格より不利なところで約定することがあります。
手数料や資金調達料も、少しずつ証拠金を減らします。証拠金が減れば、清算価格は建値に近づきます。
ロスカットラインのすぐ隣に清算価格を置くと、損切りが間に合わずに清算されることがあります。
余白の大きさは、その銘柄がふだんどれくらい動くかで考えます。値動きの大きい銘柄ほど、広めにとります。
数字で持つなら、その銘柄の 1 日の値幅(高値と安値の差)を見ます。余白がその幅より狭いと、1 日の動きで 2 つの線をまとめて通り過ぎることがあります。
余白が足りないと感じたら、ロットを減らして清算価格を遠ざけます。
コツ3:レバレッジではなく、清算価格からロットを決める
計算例です。証拠金 500 USDC・建値 100・最大 10 倍(維持証拠金率 5%)のロングで、清算価格を 80 にします。
建玉は約 2,080 USDC、レバレッジは約 4.2 倍です。清算価格を 90 まで近づけると、ロットは約 34.4、レバレッジは約 6.9 倍になります。
ロスカットライン 88 で閉じたときの損失は、20.8 × 12 で約 250 USDC です。この額を失ってよいかも、ここで確かめます。
レバレッジの数字を先に決めると、清算価格がどこになるかが見えません。清算価格から逆算すれば、ロットもレバレッジも一緒に決まります。
コツ4:クロスマージンでは、清算価格は後から動く
クロスマージンでは、口座の証拠金をすべてのポジションで共有します。清算価格は、口座全体の状態で決まります。
- 同じ銘柄にロットを足すと、清算価格は建値の側へ近づく
- ほかのポジションの含み損が増えると、清算価格は近づく
- 証拠金を出金すると近づき、入金すると遠ざかる
上の式は、その証拠金だけで建玉を持った場合(分離マージンと同じ)の値です。クロスマージンでは、ロットを足すたびに取引所の画面で清算価格を確かめ直します。
出金の前にも、残るポジションの清算価格がどこへ動くかを先に見ます。
決める順番を 4 ステップで
- ロスカットラインを決める(値動きの節目・1 回で失ってよい額)
- ロスカットラインから余白をとって、清算価格を決める
- 証拠金と清算価格から、式でロットを出す
- ロスカットで閉じたときの損失を出し、許せなければロットを減らす
ロットを減らすと、清算価格は建値から遠ざかります。4 から 2 へ戻ってやり直しても、余白は広がる方向にしか動きません。
よくある質問
Q. 清算価格を、ロスカットラインの代わりにしてもよいですか?
おすすめしません。清算は証拠金が維持証拠金まで減ったところで起きるので、そこまでの損失は大きくなります。損失の大きさを選べるのは、ロスカットラインです。
Q. ショートの場合はどう考えますか?
上下が逆になり、ロスカットラインと清算価格は建値より上です。証拠金 500 USDC・建値 100・清算価格 120 なら、ロットは 500 ÷(20 + 6)で約 19.2 です。
Q. 計算と取引所の表示がずれるのはなぜですか?
手数料・約定のずれ・資金調達料、クロスマージンでのほかのポジションの影響があるためです。大きな建玉では、維持証拠金率が段階的に上がる銘柄もあります。
まとめ
- ロスカットラインを先に決め、清算価格はその外側に置く
- 2 つの間には、約定のずれと手数料の分の余白をとる
- ロットは 証拠金 ÷(建値と清算価格の差+清算価格×維持証拠金率)
- クロスマージンでは、ロットを足すたびに清算価格を確かめ直す
💡 清算価格からロットを計算するなら
Hype トレードの清算価格の画面は、銘柄・方向・清算価格・証拠金を入れると、この記事の式でロットを出します(2026 年 9 月 25 日時点)。
この記事は計算の考え方の説明で、売買の推奨ではありません。数値はすべて計算例です。手数料や維持証拠金率は、取引所や銘柄によって違います。
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