metamask – メタマスク 3つのjPYCの違い

この記事はこんな方向けです。

  • MetaMask に JPYC を入れたら「JPYC v1」「JPYC Prepaid」「JPYC」など似たトークンが複数出てきて、どれを使えばいいか分からない方
  • 「前払式支払手段」と「電子決済手段(ステーブルコイン)」の違いをざっくり把握したい方
  • これから JPYC を取得する方で、現在の主流コントラクトを確認したい方

※ 本記事は 2026年5月6日時点の情報をもとに、筆者が MetaMask(Polygon ネットワーク)で実際に表示を確認した内容を整理しています。

はじめに:MetaMask で JPYC を見たら3種類あって混乱した話

MetaMask の Polygon ネットワークで jpyc を検索した結果、JPYC v1 / JPYC Prepaid / 新 JPYC など複数のトークンが並んで表示されている画面
MetaMask(Polygon)で「jpyc」と検索すると、似た名前のトークンが複数並ぶ

MetaMask の Polygon ネットワークで JPYC を追加しようとすると、検索結果に 「JPYC v1」「JPYC Prepaid(旧 v2)」「JPYC」など、よく似た名前のトークンが並んで表示されることがあります。一見では「どれを送金に使えばいいのか」「どれが今の正式な日本円ステーブルコインなのか」が判別できません。

結論を先に言うと、この3つは発行時期と法的位置づけが異なる別物で、2026年5月時点で新規に使うべき主流は「3. 新JPYC(電子決済手段)」です。以下、それぞれの違いを整理します。

3つのJPYCの違い

Polygon 上の JPYC トークンには、発行時期と法的位置づけが異なる3世代のコントラクトが存在しています。

1. JPYC v1(旧コントラクト・前払式支払手段)

  • Ethereum の JPYC v1 から Polygon にブリッジマッピングされた最初期のトークン
  • 法的には前払式支払手段(資金決済法)として発行されたもの
  • 新規取得・新規送金で使う前提のシリーズではなく、旧来の保有者向けに残っている世代

2. JPYC v2 = 現「JPYC Prepaid」(旧コントラクト・前払式支払手段)

  • Polygon にネイティブ実装された新しいスマートコントラクトで、v1 とは完全に別物
  • 当初は v1 から v2 への移行が進められていた
  • 最近リブランドされ、現在は「JPYC Prepaid(JPY Coin Prepaid)」という名称に変更されている
  • MetaMask の表示上「JPYCX / Super JPY Coin (PoS)」と見えるケースがあるのはこれに該当する可能性がある(PolygonScan のラベル変更による)
  • 位置づけは引き続き前払式支払手段で、後述の新 JPYC(電子決済手段)とは別カテゴリ

3. 新「JPYC」(電子決済手段ベースの正式ステーブルコイン)

  • Ethereum / Polygon / Avalanche の3チェーンで展開され、JPYC の発行・償還が公式に開始された新しいステーブルコイン
  • 2025年に始まった改正資金決済法に基づく「電子決済手段」としての日本円ステーブルコイン
  • 1 JPYC = 1円で発行・償還が法的に保証される
  • ティッカー「JPYC」として発行されているのはこの新シリーズ
  • 発行・償還は JPYC EX(jpyc.co.jp)というプラットフォーム経由で行われる(運営:JPYC株式会社)

公式サイトの注意:jpyc.jp と jpyc.co.jp は別物

JPYC 関連の公式サイトは2つあり、扱っている商品が異なるため、参照する際は混同しないようにしてください。

URL 扱う商品 位置づけ
jpyc.jp JPYC Prepaid(旧 v2) 前払式支払手段
jpyc.co.jp(JPYC EX) 新 JPYC 電子決済手段(正式なステーブルコイン)

新しい正式な日本円ステーブルコインを使いたい場合は、jpyc.co.jp(JPYC EX)側を参照してください。

法的位置づけの違いがポイント

種別 法的根拠 1円との連動
前払式支払手段(v1, JPYC Prepaid) 資金決済法・前払式 購入は1円だが、法定の償還義務なし
電子決済手段(新JPYC) 資金決済法・電子決済手段 1円で発行・償還が法的に保証

新 JPYC が依拠する「電子決済手段」という法的カテゴリは、2023年6月1日に施行された改正資金決済法によって新設されたもので、ステーブルコインを発行・取り扱う事業者は登録制となりました。具体的な規制内容や対象業務の定義は、金融庁の公式案内をご確認ください。


電子決済手段等取引業・電子決済等取扱業を営もうとするみなさまへ(金融庁 公式)

Ethereum と Polygon の違い(JPYC 利用時の選び方)

新 JPYC は Ethereum / Polygon / Avalanche の3つのネットワークで発行されています。MetaMask に追加するときは、必ず「どのネットワークの JPYC か」を意識する必要があります。同じ「JPYC」でも、ネットワークが違えばまったく別のトークンとして扱われ、ネットワークをまたいだ直接送金はできません。

ここでは利用者の多い EthereumPolygon の違いを整理します。

項目 Ethereum(メインネット) Polygon(PoS)
位置づけ ベースとなる L1 チェーン本体 Ethereum 互換の別チェーン(サイドチェーン/L2 系)
送金手数料(ガス代) 高い(数百〜数千円規模になることもある) 非常に安い(数円以下が多い)
送金の速さ 1ブロック十数秒、混雑時は遅延しやすい 数秒程度で確定しやすい
セキュリティ もっとも実績があり強固 独自バリデータ群により別途担保
向いている用途 大口送金、Ethereum 上の DeFi 等との連携 少額決済、頻繁な送金、ガス代を抑えたいケース

日常的に JPYC を送ったり受け取ったりするユースケースでは、ガス代が桁違いに安い Polygon を選ぶのが一般的です。一方で、Ethereum メインネット上の他のプロトコルや受け取り側との連携が必要な場合は Ethereum 版を選びます。

重要な注意点として、Ethereum の JPYC を Polygon のアドレスへ直接送ったり、その逆を行ったりすることはできません(必要なら公式ブリッジを介します)。MetaMask でトークンをインポートする際は、まずネットワーク(Ethereum / Polygon)を切り替えたうえで、そのネットワーク用のコントラクトアドレスを JPYC EX 公式サイト で確認するのが安全です。

現在主流で使えるのは「新 JPYC(電子決済手段)」

JPYC(日本のステーブルコイン)の公式ロゴ
2025年に発行が始まった「電子決済手段」としての JPYC が現在の主流

2026年5月時点で、新規に取得・送金・受け取りで使うべき主流の JPYC は、3 の「新 JPYC(電子決済手段ベース)」です。3シリーズの位置づけを整理すると次のとおりです。

  • 新 JPYC(電子決済手段):1円での発行・償還が法的に保証される正式な日本円ステーブルコイン。Ethereum / Polygon / Avalanche で発行されており、これから JPYC を使うなら基本これ
  • JPYC v1:旧世代の前払式トークン。新規取得の対象ではなく、旧来保有者向けに残っているシリーズ。
  • JPYC Prepaid(旧 v2):前払式支払手段としてリブランドされた世代。プリペイド残高としての利用は可能だが、償還が法的保証されたステーブルコインではないため、新 JPYC とは性質が異なる。

MetaMask で「どの JPYC を入れるべきか」迷ったら、新 JPYC のコントラクトアドレスJPYC EX 公式サイト(jpyc.co.jp)で確認し、それを Polygon / Ethereum / Avalanche のいずれかでインポートするのが安全です。jpyc.jp は JPYC Prepaid(前払式)の公式サイトなので、新 JPYC 用のコントラクトを探す目的で参照しないようにしてください。古い v1 や JPYC Prepaid のコントラクトを誤ってインポートしてしまうと、表示は「JPYC」でも新 JPYC とは互換性のない別トークンを保有することになります。